国保税の引き上げに加えて、生活相談の電話。


                                       夜明け前の空

 くもりや雨の天気27℃東の風から南東の風に変わる。幸い台風は宮古からそれたものの強い風が吹き雨が少ないのが気になります。
 生活相談の電話が多くなっている中で、国保税率の引き上げの苦情と問い合わせが連日入り、その対応に追われています。
旧税率の1.5倍から2倍の引き上げにより、多い人で数十万円の引き上げは無理があります。
3月市議会で、「高すぎる国保税を引き下げてほしい」「払える国保税で安心して医療を受けたい」との市民の切実な願いに反する国保税の大幅値上げがおこなわれました。
私の聞き取り調査では「毎月4000円分割で払って短期証を手にしてきたが、支払い額をもっと上げて5000円にしてくれといわれて、これ以上無理なので払えなくなり保険証も手もとににない。1.5倍の引き上げは分納といっても払えない金額で、生活ができなくなります。どうにでもなれという気持ちだ」「住民税・介護保険料、それに国保税値上げ、老後の暮らしはお先真っ暗です」「国保税などの支払いのためにやりくりも限界で、どこも削るところはありません。これでは国保証があっても医者にかかる金がありません」「もう医者かかることができなくなります」
市民の負担は明らかに限界に達しています。
市は高すぎる国保税を引き下げる努力を真剣に行い、市民のあたり前の願いに応えるべきです。
格差と貧困の拡大のなかで、国保加入世帯は低所得世帯が増加して、収納率が低下して滞納世帯がいっそう増加することが懸念されます。
それが短期証・資格証明書発行世帯を増加させ、受診抑制につながり、市民の命と健康を脅かし、病気の重症化で医療費の増大につながる悪循環を生み出しています。
国民健康保険法は「社会保障と国民保健の向上に寄与する」と謳い、国の責任で国民に医療を保障する制度です。安心して受けられる医療、安心して払える国保税にするため、一般会計からのくり入れを増額し、国保税を値下げすべきと考えます。
 私は3月議会と議会前も「このような税率の引き上げはすべきではない、住民説明会を開くべきだ」と要求してきました。
この間の「広報みやこじま」の説明を読んでも、新聞報道を読んでも市民には「なぜ大幅な引き上げなのか」理解しにくいものになっています。


    後期高齢者支援で大幅増」になったのではありません。


広報平良7月号NO34の5ページに「国保税の税率が改正」の大見出しで国民健康保険課の説明が掲載されています。同様の内容が納付通知書にも書かれています。
それを読みますと、国保税の税率改正の理由に?平成20年度からの医療制度改革による新たな課税額の発生(後期高齢者支援金分)及び特定検診・特定保健指導事業の費用を考慮した税制改正が必要であった。?増大する医療費に対し、旧5市町村の不均一課税では税収不足が生じていた等があげられます。
としていますが、これでは、宮古毎日新聞が報道しているように後期高齢者支援で大幅増」という誤解を市民に与えてしまいます。
市民は「支援金とは何、初めて目にしたけど、なぜ後期高齢者支援金分を赤ちゃんまで支払わなくてはならないのか」と怒っています。
何の説明もなく唐突に新しい項目を示されたら、このように怒るのも、もっともなことです。
支援金の増額で負担が大きくなったのではありません。
もともと国民健康保険税または料の医療保険分の中に、「老人医療拠出金(若年層が75歳以上の方々の医療費を負担)」としてあったものです。
それが今年から後期高齢者医療制度の開始と共に、若年者の負担を明確化するために、医療保険分と後期高齢者支援金分とに分けられました。
宮古島市の職員の方が、「新聞は『後期高齢者支援金で大幅増』というが、ちがう」と指摘して、浦添市国保納付通知書の説明書を見せてくれました。さすが宮古島市の職員です。
その説明書を読むと明快です。医療制度改革で私たちが「差別医療」だと批判してきた中身ですが、うかつにも数字ばかりに目をとられていました(反省)。(ただし、後期高齢者支援金分のために増額になった国保や健保もあるそうです。宮古島市がそれに該当するのかどうか…?)
 浦添市国保納付通知書の関連部分を引用します。
 

       1,平成20年度分の国民健康保険税内訳に後期高齢者支援金分が加わります。

 これまでの医療分が、医療分と後期高齢者支援金分に分かれます。後期高齢者支援金分とは、74歳以下の若い世代(社会保険加入者や国保加入者など)が高齢者医療制度を支えるための負担金のことです。この負担金は、今まで医療分の中から支出されていました。しかし、今後は税金の使い道を明らかにする趣旨で、法律により医療分と後期高齢者支援金分の2つに区分することになりました。
 世帯の構成及び所得合計が変わらなければ、年税額は、昨年度(平成19年度)と変わりません。
<医療分>
19年度
所得割 (18年中の所得ー33万円)×9.8% …(A)
均等割 1人につき19,800円          … (B) 
平等割 1世帯につき24,000円 …(C)
20年度
<医療分>
所得割 (18年中の所得ー33万円)×7.7% …(D)
均等割 1人につき15,600円        …(E)平等割 1世帯につき18,800円       …(F)後期高齢者支援金分>
所得割 (18年中の所得ー33万円)×2.1% …(G)
均等割 1人につき4,200円         …(H)平等割 1世帯につき5,200円 …(I) 

                         (注・引用枠内の赤い文字は私が挿入しました。)
所得割 (A)9.8%=(D)7.7%+(G)2.1%
均等割 (B)19,800円=(E)15,600円+(H)42,00円
平等割 (C)24,000円=(F)18,800円+(I)5,200円

 政府・与党は、後期高齢者医療制度のメリットとして「負担の明確化」といっていますが、老人保健制度でも国保や健保によって拠出金の割合というのが決まっていたのです。明確になったというのは、各個人に対して、ということです。
後期高齢者支援金分」は、後期高齢者医療制度の医療費が増えたら増税される部分です。“年寄りの医療費が増えたから増税になった”と思わせる効果をねらった差別医療そのものです。
宮古島市でも「高齢者は医者にかかり過ぎて医療費負担ばかり増やすから困る」という声が議員や関係職員から聞こえてきます。
しかし、沖縄県後期高齢者医療広域連合に加入した沖縄県内の自治体のなかで、宮古島市は医療費が低いということで、保険料も他の自治体より安くなっています。現に宮古島市では75歳以上でも元気で病院にほとんど行かない多くの元気な人がいます。
現役世代でも病弱で手厚い治療が必要な人もいます。十把ひとからげに年齢で区切りますから「差別医療」と批判するわけです。
「現役世代と高齢者の負担分を明確にする」といって、国保税の納税通知や健保明細に、「後期高齢者支援金分」という項目をつくり、「高齢者が医者にかかりすぎるから、私の保険が上がった」と小泉流の現役世代と高齢者を対立させるように仕向ける仕組みです。
現役世代は、高齢者の医療費へこれまでの老人保健制度で、国保や健保からの老健拠出金というのがあり、一定のルールに従って負担していました。
国民皆保険制度というなら、すべての国民で支えるべきなのに、政府と企業の負担率が減っています。
ちなみに、後期高齢者医療の給付の財源は、国・都道府県・市町村の公費(税金)が5割、後期高齢者本人の保険料が1割、残りの4割が国民健康保険をはじめとして社会保険や共済保険等の各種保険から「後期高齢者支援金分」として徴収されたものです。
その4割の「後期高齢者支援金分」は、国民健康保険をはじめとして社会保険や共済保険等の各種保険の0歳の赤ちゃんから〜74歳までの加入者が負担をすることになっています。
長くなりますので続きは後で書くことにします。